私たちの税金の使われ方
昨年末から、物価高に加えて増税のニュースを耳にする事が多くなりました。普段私たちが納めている色んな税金ですが、どのように決まり、どのような事に使用されているのかご存じでしょうか?
今月は税金の使われ方についてご紹介していきます。
・なぜ、税金を納めなければいけないのか?
警察や消防といった、私たちの生活に不可欠な公共サービスには多くの費用がかかります。「みんなに必要なものはみんなで負担しよう」というのが税金の一つ目の役割です。
また、税金は収入や財産の格差を是正することにも活用されます。
収入や財産の多い人に割高な税金を課し、それを財源として社会保障制度を充実させ、収入や財産の少ない人が困らないようにする「富の再分配」が行われています。
他にも税率の上げ下げによる「景気の調整」や株式市場への投資を促進するために株式投資による利益への税率緩和といった「政策の手段」として使われる事もあります。
・どのように税金の取り方は決まるのか?
税に関する法律(税負担の方法)と税の使いみち(予算)は、国民の代表者である議員が決めています。国民は選挙によって国民の代表者となる国会議員・地方議員を決め、議員は税に関する法律案・予算を国会・地方議会で議決します。その後法律が制定され、国民は法律に基づいて課税された税金を納税し、公共サービスなどを受ける事ができます。
国民の代表者となる議員=有権者である私達が決めた人です。民主主義の基本として政治への参加と税金を負担する事が対になっています。税金の使い道を理解し、適切に使われているか関心を持つ事が納税者にとって重要です。
・どのような事に税金は使われているのか?
国の収入と支出の内訳(令和4年度予算)は以下のとおりです。
●国の1年間の収入内訳
国の収入=税金ですが、実際に税金で賄えているのは全体の60.6%で、残りは公債金(国の借金)でやりくりしている状態です。
(出典:国税庁ホームページ)
●国の1年間の支出内訳
国の歳出(=支出)の約22%が国債費(国の借金と利子の支払い)に充てられています。
(出典:国税庁ホームページ)
現在の国の財政では、税金だけでは一般歳出を支払う事ができないので、不足分を借金している状況で、令和4年度末にはその額は1026兆円に上るといわれています。
また、日本の国民負担率(租税負担と社会保障負担(社会保険料など)の国民所得に占める割合)も、少子高齢化に伴って上昇していく見込みです。
現在の日本の財政を理解した上で、税金の使い道を今一度考えてみましょう。
例えば一般ゴミの収集は皆が毎日のように出すので皆から集めた税金で賄っています。
しかし、まれに出す粗大ごみなどは処分に費用がかかるため、捨てる人から料金を別途いただいています。
一人ひとりが受け取るサービスが異なるため、受益の違いに応じて負担の仕方が異なってきます。
どこまでを「公共サービス」として提供して、どこから税金で負担するべきか、「受益」(公共サービス)と「税負担」の在り方を考え、国民(納税者)が選択することが必要となってきます。公平な税負担と給付の関係について常に関心を持つことは私たちの安心できる生活に直結しています。